帰るところがない




シネマテークたかさきで「二郎は鮨の夢を見る」を見ました。
銀座にある鮨店「すきやばし次郎」の店主である、
小野二郎さん(87歳!)のドキュメンタリー映画です。


優しく握ったお鮨に、
刷毛で醤油をひとぬりしてお客さんに出すのですが、
この一連の所作が美しい…!
(予告編の中で見られます→こちら

特にマグロが美味しそうなのですが
お鮨を置く板(何て言うのかな?)が黒いから、
赤色が一番映えるんですよね。

ただ美味しいお鮨を出せば良い訳でなく、
器や店内の隅まで気を配って、全体を演出している所が
二郎さんやこのお店が評価される点なのだと感じました。
こういう美意識に、たまらなくぐっときます。


映画の中では自分にも他人にも厳しい考え方が
随所に表れていたのですが、
特にぐっときた言葉がありました。

次男の隆士さんが独立して、六本木に支店を建てた時
二郎さんが隆士さんに「六本木で死んでこい」と言ったエピソード。
失敗したらいつでも帰ってこい、ではなく
失敗してもお前が帰ってくる場所はない、という意味。
くぅ〜!と唸りました。

小学校一年の時からこの道に入った二郎さん自身も、
父親に同じことを言われたそう。
帰る家がないからこそ、
どんなに辛いことがあっても耐えよう、
上手くなるように努力しよう、と思ったと。


ひとつひとつの言葉が重くて、
何度も頭をガーンと殴られた気分でした。